こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。
前回の授業では、牛が1日に100リットル以上もの「唾液🤤」を出し、それが胃袋の中の微生物を守るための大切な役割を果たしていることをお話ししました。
さて、ここで鋭い読者の皆さんは一つの疑問を持ったのではないでしょうか。 「100リットルの唾液を出すための水分は、一体どこから来ているの?」ということです。
答えは単純明快。牛が毎日たっぷりの「水🚰」を飲み、体の中で何度も使い回しているからです。 今回は、牛の健康と命を支える基盤である**「飲水量」**について授業を始めます!
【訂正 2026年9月27日】公開時のタイトルと本文で「大人の牛は1日80〜100リットル(約100kg)の水を飲む」と書いていましたが、これは乳を出している乳牛の数字でした。日本の黒毛和牛を調べた研究では平均37リットル前後です。あわせて、飲む速さの数字も根拠のある資料の値に改めました。元教師として数字の裏取りが甘かったことをお詫びし、訂正します。あわせて、微生物の数の表現も国の研究機関の資料に合わせて改めました(2026年9月28日追記)。
■ 1日にバケツ何杯分!?驚きの「水飲み」事情
大人の牛が1日に飲む水の量は、牛の種類や季節、エサによって大きく変わります。日本の黒毛和牛の肥育牛(平均体重626kg)を調べた研究では、1日に平均37リットル(およそ17~91リットル)という結果が出ています。
重さにすると約37kg。私たち人間が1日に飲む水の量と比べると、まさに桁違いです。10リットルのバケツで言えば、毎日4杯分🪣、よく飲む牛なら9杯分を飲み干している計算です。
特に、おっぱいをたくさん出すお母さん牛(乳牛)の場合はさらに凄まじく、北海道の農業改良普及センターの資料では1日に75~180リットルにもなるとされています。まさに「歩く給水タンク」状態ですね。
■なぜ、そんなに大量の水が必要なのか?
牛がこれほどまでの水分を必要とするのには、主に3つの理由があります。
1. 巨大な「発酵槽」を維持するため 何度も登場している牛の第1胃(ミノ)は、巨大な「発酵工場🏭️」です。ここには、胃の中の液1リットルあたり10兆個以上もの微生物が住んでいますが、その容積は成牛で90~220リットルにもなります。牛が飲んだ水は、この微生物が働く「場」そのものを支えているのです。
2. 100リットルの唾液を作るため 前回の復習になりますが、牛は胃の中を中和するために大量のアルカリ性の唾液を必要とします。この唾液の主成分は当然「水💧」です。飲んだ水の一部は血液となり、唾液となって再び胃へと循環していきます。
3. 体温を調節するため 牛は汗をかくのが苦手な動物です(これについては後の回で詳しくお話ししますね)。そのため暑さに弱く、気温が上がるほどたくさんの水を必要とします。🥵
■牛の飲み方は「バキューム」!?
牛の水の飲み方を観察したことはありますか? 牛は口を水面につけて一気に吸い込むように飲みます。
そのスピードも驚異的😳です。アメリカの大学の資料では、乳牛は1分間に約4.5~13.6リットルの水を飲むとされています。喉が渇いている時には、バケツ1杯分(10リットル)の水を、1~2分ほどで空っぽにしてしまうのです。
■最後に:「水」は最も安くて大切な栄養素
私たち農家にとって、水はエサと同じ、あるいはそれ以上に大切な「栄養素」です。 どれだけ高級なエサを与えても、水が汚れていたり足りなかったりすれば、牛は体調を崩し、エサを食べる量も減ってしまいます。
「常に清潔で、たっぷりとした水が飲める環境を整えること」 これは、牛飼いの仕事の中でも最も基本的で、かつ最も重要な技術の一つです。
さて、これほど大量の水を飲み、大量の草を食べる牛ですから、当然「出口」の方も大変なことになります。 次回は、牛の健康のバロメーターであり、環境を守る資源にもなる「あの話」に移りましょう。
次回予告
【第25回】毎日が山積み!?牛の尿とフンの量から見る循環


コメント