こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。
前回は、子牛のお腹の主役が第4胃から第1胃へ移っていく話をしました。今回はその続きで、スターターと乾草の役割の違いです。実はここ、私が大きく失敗したところでもあります。
【技術編を読む前の注意点】
※本記事は、「経済動物」としての視点に基づいた繁殖経営のノウハウです。
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■ スターターが絨毛を育てるのは本当
第1胃の内側には絨毛(じゅうもう)という細かい突起があり、ここで栄養を吸収します。スターターが第1胃で発酵すると揮発性脂肪酸が出て絨毛が伸びる。これは広く知られています。
一方、ミルクは食道溝反射で第1胃を素通りします。いくら飲ませても絨毛は育ちません。
■ 「乾草はもったいない」と思ってしまった
ならばスターターを一粒でも多く食べさせたい。そう考えた私は、乾草でお腹のスペースを取られるのがもったいないと思い、極端に乾草をやらない時期がありました。
結果は、思っていたのと逆でした。
まず哺乳期の段階で、配合(スターター)の量が思ったより上がりません。反芻が少なく、胃の中が酸に偏っていたのではないか。今ならそう考えています。
こたえたのは、離乳して育成に移ってからです。乾草の量を上げようにも上がらず、常に軟便で「下痢グセ」のような状態が続きました。時には治療が必要になることもありました。
■ 乾草がしていた3つの仕事
私が見てきた感覚では、乾草にはこんな役割があったのだと思います。
1つ目は、胃を大きくして反芻を起こす刺激。反芻すれば唾液が出て、酸に傾いた胃の中が戻ります。
2つ目は、物理的刺激による絨毛の発達。絨毛はスターターだけで育つと思っていましたが、それだけではないのではないか、と。
3つ目は、胃の中のブラッシング効果。スターターばかりだと絨毛の間にカスが詰まって働きが鈍る。それを乾草が掃除してくれているのではないか。2つ目と3つ目はあくまで私の実感で、確かめられた話ではありません。
■ 今はこうしている
少量の乾草は必ず入れる。そのうえで牛の状態を見ながら、スターターと乾草のバランスを毎日考えます。
乾草はチモシーです。長さは厳密には気にしていませんが、切って与えています。最初はどうしても茎の硬い部分を残してしまうので、柔らかいところから上げていくようにしています。個体差はありますが、目安はこうです。
・ひとつまみの乾草から始める
・スターター1日1.6〜2kg(離乳の目安)のとき、乾草は1日400〜500g
・離乳して育成用の配合に切り替えるのと同時に、乾草を1日800g〜1kgへ
■ 最後に
このやり方にしてから、育成に移ってもスムーズにいくようになりました。
前回「チモシーはスターターの後に少量から」と書いたのは、このためです。
スターターは化学的な刺激、乾草は物理的な刺激。どちらか片方では足りないのだと、私は遠回りしてようやくわかりました。同じ失敗をする人が一人でも減れば嬉しいです。
🔔 次回予告
【第56回】代用乳の鉄則:40℃・濃度・時間の一貫性


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