【第56回】代用乳の鉄則:40℃・濃度・時間の一貫性

専門技術とノウハウ
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こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。

前回は、スターターと乾草の役割の違いをお話ししました。乾草を減らしすぎ、離乳後まで下痢グセを残した失敗談です。

今回はその手前、代用乳(ミルク🍼)そのものの扱い方です。第51回で「濃度・温度・時間はブラさない」と書いた、その中身です。


【技術編を読む前の注意点】
※本記事は、「経済動物」としての視点に基づいた繁殖経営のノウハウです。
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■ 温度:測るのは「飲ませる瞬間」

私は代用乳を40℃前後で飲ませています。子牛の体温に近い温度が基準です。

冷たいミルクは、子牛が体温まで温め直すのにエネルギーを使い、飲ませたぶんが体作りに回りません。私が見るのは溶かした直後ではなく、哺乳瓶を口に運ぶ瞬間の温度です。冬場は運ぶ間に下がるので、溶かすときは少し高めに。

そして手の感覚は当てにならない。温度計で確かめる。これだけで毎回同じ温度になります。


■ 濃度:大事なのは「粉の量」

濃度がブレる原因は、たいてい粉は計るのにお湯を目分量で入れることです。

濃すぎれば下痢を招き、薄すぎれば飲んでいるのに伸びない。どちらも「量は足りているのに」という形で出るので気づきにくい。粉もお湯も必ず計量する——濃度管理はこれに尽きます。

「3リットル飲ませている」と言っても、それは水を含めた全体の量。同じ3リットルでも粉が400gか500gかで中身は違う。大事なのは水の量ではなく粉の量です。

発育に合わせて増やすときは、濃さは最初から最後まで変えません。増やすのは濃度ではなく、飲ませる量のほうです。

薄すぎるミルクには、もうひとつ心配があります。第54回でお話しした食道溝反射は、乳首を吸う哺乳行動が引き金と言われますが、私は濃度にも反応している面があるのではと考えています。極端に薄ければ水と変わらない——反射がうまく働かず第1胃へ流れ込み、ルーメンドリンカーにつながるのでは。あくまで私の仮説です。


■ 時間:子牛は腹時計で待っている

哺乳の時刻も固定しています。毎日ほぼ同じ時刻に飲ませることで、受け取る子牛の準備が整います。

間隔が空きすぎた日は、腹を空かせた子牛が勢いよく飲みます。吸う力を超えて流れ込んだミルクは、反射をすり抜けて第1胃へ入る。空腹のがぶ飲みが一番こわいと思っています。


■ ブレるのは牛ではなく人

温度も濃度も時間も、崩れるときは決まって人の都合です。忙しい日、担当が替わった日、急いだ日。

だから、感覚で伝えないようにしています。数字で決めて紙に書いておく。誰がやっても同じミルクになる状態が、結局いちばんの近道でした。



■ 最後に

代用乳は離乳までの約3ヶ月、毎日続く作業です。1回のブレは小さくても、積み重なれば体格差になります。

第51回で、人工哺乳では「人がミルク🍼でコントロールする」ことが大事だとお話ししました。温度も濃度も時刻も、決めているのはすべて人の側です。

派手な技術ではありません。それでも、40℃・同じ濃度・同じ時刻を守り続けることが、子牛の育ちを一番静かに支えている。私はそう思っています。


🔔 次回予告
【第57回】発育の答え合わせ:体重と日増体量(DG)で育成を数値化する

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