【第50回】AI種士(あい)|牛のかけ合わせを相談できるアプリを自分で作った話

経営と農業教育の展望
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こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。

前回は、ブログの運営を少しずつ自分で自動化してきた話をしました。最後に「専門知識がない人間でも、自分の道具を自分で作れる時代になったんだな」と書いたのですが、今日はそのいちばんの具体例をお話しします。実は今、牛の仕事に役立つアプリを、自分の手で作っているのです。

このアプリは、誰かが用意してくれた便利な道具ではありません。私が「これが欲しい」と思ったものを、自分の手で少しずつ詰め込んで作っている、いわば自分専用の道具です。この相棒には「AI種士(あい)」という名前をつけました。種付け(かけ合わせ)の相談に乗ってくれる存在に育ってほしい――そんな願いを込めた名前です。


■ 「こうしたい」と日本語で伝えるだけ

私はプログラムを書ける人間ではありません。それでも作れているのは、Claude Codeという道具のおかげです。「こういう画面がほしい」「この情報を記録できるようにして」と、日本語で頼むだけで形にしてくれる。難しい言葉を覚える必要はありませんでした。素人の私が作りたいものを言葉にするだけで形になっていくのは、正直、今でも少し不思議な気持ちになります。

今のアプリでは、牛の一頭ごとの情報や、日々の作業記録、種付けに使う精液の在庫を管理できるようにしています。さらに、全国で公開されている種雄牛のデータも確認できるようにしました。


■ いちばん欲しかったのは「かけ合わせの相談相手」

このアプリで、私が真っ先に手をつけた機能があります。牛のかけ合わせ(種付け)を、AIに相談できる仕組みです。

牛の繁殖では、母牛にどの種雄牛を掛けるか、その判断がとても大切です。繁殖経営でいちばん大事といってもいいくらいで、ここは経験と知識がものを言う世界です。これまで種付けを決めてきたのは、長年の経験を積んだ上司や先輩たちで、正直に言えば、私自身はまだそこに深く関われていません。技術が、まだまだ足りないのです。

それでもこの仕組みを作ろうと思ったのには、理由があります。これから新しい仲間が入ってきて、種付けを一から学んでいくことになります。そして経験の浅い私自身も、これから種付けを担っていかなければなりません。ベテランの豊富な知識に頼りきりではなく、経験の浅い私や新人でも判断を支えてもらえる――そんな相談相手があったらいいな、と思ったのです。

作りたい形はこうです。その母牛の枝肉の成績や子牛の売上、これまでの繁殖記録を入れておくと、「あい🤖」が「この牛には、この種雄牛が合いそうです」と候補を考えてくれる。血が濃くなりすぎないよう(近すぎる血どうしを掛けないよう)気を配り、今手元にある精液の在庫も踏まえて答える。「サシ(霜降り)を多く出したい」「大きく育てたい」――農場ごとの目指す方向に合わせて選んでくれる。そんなふうに動くよう、組んでいます。

まだ現場で本格的に使える段階ではありません。けれど完成したら、まるで経験豊富な先輩に隣で相談しているような、そんな頼もしい相棒になってほしい。そう願いながら作っています。


■ 新人さんが学べる「学習モード」も

もうひとつ、元教師として力を入れているのが学習モード📖🎓️です。種雄牛の血統や、かけ合わせの考え方を、問題形式で学べる仕組みにしました。

牛の繁殖は、覚えることがたくさんあります。私自身、雇われて牛の世界に入ったときは、わからないことだらけでした。だからこそ、新しく入った人が少しずつ学んでいける「教材」のような機能を、入れておきたかったのです。教えることが好きだった性分は、今も抜けていないようです。


■ 「声でメモする」はもう動いています

最近うれしかったのが、声で記録する仕組みです。牛の世話の最中に、いちいちスマホを開いたり紙にメモしたりするのは、案外と手間なもの。手が汚れていることも多いですしね。

そこで、ボタンをひとつ押して「今日のこの牛は食い込みがいいな」とつぶやくだけで、AIが声を聞き取り、ほどよくまとめて記録してくれる。これが私の手元ではもう動いていて、実際にとても便利なのです。

あとはこれを、ほかの人にも同じように届けられる形にできるか。そこはこれからの挑戦ですが、考えるだけでわくわくします。



■ 最後に;技術は、現場の一人ひとりの味方になる

専門知識のない一人の牛飼いが、自分の困りごとを自分で解決できる。少し前なら考えられなかったことです。元教師として、これから独立就農を目指す身として、私はこの変化を心強く感じています

もし「このアプリを使ってみたい」「ちょっと興味がある」という方や、「Claude Codeを自分の職場にも取り入れてみたい」という方がいらっしゃれば、Instagramのコメントやメッセージ(DM)で、どうぞ気軽に声をかけてください。同じように現場で工夫している方とつながれたら、とても嬉しいです。

4回にわたってお届けしてきたAIシリーズは、これで一区切りです。次回からは、また通常の牛と食育のお話に戻ります。これからもどうぞお付き合いください。


🔔 次回予告
第51回「最初の1ヶ月は『ミルク量』:体格作りの圧倒的威力」


次はどの種を付けよう。その相談も、記録も、AIと。|AI種士(あい)
元教師の牛飼いが、自分の「困った」から作ったアプリです。種付けの相談はAIと。牛舎の記録は話すだけでグラフと日報に。繁殖農家と、これから就農する人へ。AI種士(あい)は現在開発中です。

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