こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。
前回の授業では、牛には「上の前歯🦷がない」という衝撃の事実をお伝えしました。 上の歯がない代わりに、硬い「歯床板(ししょうばん)」とザラザラした舌を使い、力強く草を引きちぎって食べるのが牛のスタイルでしたね。
しかし、あんなに大量の、しかもパサパサした乾草をバリバリと食べて、喉に詰まったり胃を痛めたりしないのでしょうか? その答えは、牛がお口の中に蓄えている「魔法の液体」にあります。
今回は、牛の健康を支える影の主役**「唾液🤤(よだれ)」**について授業を始めます!
■驚異の量:1日にバケツ10杯分!?
まず驚くべきはその「量」です。 私たち人間が1日に出す唾液の量は、成人でだいたい1~1.5リットル程度。500mlのペットボトル2~3本分くらいですね。
それに対し、大人の牛が1日に出す唾液の量は、なんと100~150リットルにものぼります! 2リットルのペットボトルに換算すると、毎日50本から75本分。バケツ🪣(10リットル)なら10杯から15杯分もの「よだれ🤤」を出し続けていることになります。
牧場で牛を見ていると、常に口をモグモグさせ、時には口角から泡が垂れていることがありますが、それはこの膨大な量の唾液が絶え間なく分泌されている証拠なんです。
■なぜ、そんなに大量の唾液が必要なのか?
牛がこれほどの唾液を出すのには、命に関わる3つの重要な役割があります。
1. スムーズに運ぶ「潤滑剤」
前回の授業で触れた通り、牛は草を引きちぎってそのまま飲み込みます。牛が食べる草は繊維質でとても硬く、乾燥しています。もし口の中がカラカラだったら、喉を通る時に食道を傷つけてしまいますよね。 そこで、大量の唾液で草をふやかし、ドロドロ🫠の「お粥」のような状態にすることで、巨大な胃袋🫃🏻までスムーズに送り届けているのです。
2. 胃の中を中和する「アルカリ剤」
これが最も重要⚠️な、化学的な役割です。 牛の第1胃(ミノ)の中では、無数の微生物たちが草を発酵させています。この発酵が進むと、胃の中はどんどん「酸性」に傾いていきます。 しかし、酸性が強すぎると胃の中の微生物🪲たちが死んでしまい☠️、牛は消化不良(第一胃過酸症:アシドーシス)を起こしてしまいます。 牛の唾液は強い「重炭酸塩」を含んだアルカリ性です。これを大量に飲み込むことで、胃の中の酸性をちょうど良い状態に「中和」し、微生物が住みやすい環境を保っているのです。
3. 「泡」を消してガスを逃がす
胃の中で発酵が起きると、大量のガスが発生します。もし胃の中が泡だらけになると、ガスがゲップとして出せなくなり、お腹がパンパンに膨らんで命を落とすこともあります(鼓脹症)。唾液にはこの泡を消す性質もあり、牛の呼吸を助けているのです。
■最後に:のんびりした「顔」の裏側で
牛がのんびりと横になって、口を動かしながら休んでいる姿(反芻)を見たことがあると思います。 一見リラックスしているように見えますが、そのお口の中では100リットルを超える魔法の液体が絶え間なく作られ、胃袋という「微生物の家🏡」を必死に守り続けているのです。
「上の歯🦷がない」という特徴に合わせて、この「唾液🤤」の仕組みがセットになっている。生き物の体は本当によくできていますよね。
しかし、牛がこれほど大量の唾液を作るためには、その「材料」となる大量の水分が必要になります。 次回は、100リットルの唾液の源となる、これまた驚きの「飲水量」についてお話ししましょう。
🔔次回予告
【第24回】水はバケツ数杯分を一気に!1日100kgを飲み干す驚異の飲水量


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