こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。
前回の授業では、牛が1日に出す「山のような尿とフン」が、豊かな土壌を作る大切な資源になるというお話をしました。 普通なら「排泄物=すぐに片付けるべき汚いもの」と考えがちですが、実は牛たちが過ごす部屋(牛舎)の床管理には、繁殖農家ならではの驚きの「逆転の発想」が隠されています。
今回は、牛が1日の大半を過ごす**「ベッド🛌(床)」**の作り方について授業を始めます!
■意外な事実:全部掃除は「しない」のが正解?
みなさんは「牛の部屋」と聞くと、どんなイメージを持ちますか? 「毎日フンを全部かき出して、常にピカピカ✨️に掃除している🧹」と思っている方が多いかもしれません。でも実は、それは必ずしも牛にとって「快適」とは限らないのです。
自社では、どの成長ステージの牛であっても、床に敷いたオガ粉(木の粉)を全部取り替えるのは1ヶ月から3ヶ月に一度ほど。これには、牛の健康を守るための深い理由があるんです。
■オガ粉だけでは「寒すぎる」
新しく入れたばかりの真っ白なオガ粉は、人間から見ればとても綺麗です。しかし、特に夜間や冬場、オガ粉だけの床は実はとても「冷たい🥶」のです。
牛にとってお腹を冷やすことは万病の元。そこで重要になるのが、「オガ粉、フン、尿」が適度に混ざり合った状態です。これらが混ざり合うと微生物によって「発酵」が始まり、じわじわと熱を持ちます。これが天然のホットカーペットのような「暖かいベッド🛌🔥」になるのです。
もちろん、新しいオガを入れると牛たちは大喜びして走り回り、体をこすりつけます。これは清潔さが嬉しいのもありますが、「自分の匂い👃がしない場所」に自分の匂いをつけ直して安心しようとする、動物の本能的な行動でもあります。
■効率的な「部分掃除」と「微生物のバトン」
管理のコツは、**「前側(エサ箱側)だけを掘る」**ことです。 牛はエサを食べながら排泄することが多いため、前側だけが汚れやすいからです。前側だけを掃除して新しいオガを入れると、牛が動く際にそのオガが後ろ側に蹴られて移動します。すると、牛が寝る後ろ側は、発酵熱のある暖かい層の上に乾いたオガが重なり、最高の寝床が長持ちします。
また、この「適度にフンが混ざった床」には、お母さん牛の大切な微生物が住んでいます。生まれたばかりの子牛は、お母さんに舐めてもらうだけでなく、この床からもお母さんの微生物を受け取ります。 この**「微生物のバトン🏃♂️」**こそが、子牛が健やかに育つために欠かせないプロセスなのです。
さらに、地域によっては「戻し堆肥(もどしたいひ)」といって、一度堆肥化したものを再び敷料として利用する技術もあります。これはコストや資源の面でメリットがある一方で、衛生管理などの面でデメリットもあり、農家によって判断が分かれる奥の深い手法です。
■最後に:人間の感覚を押し付けない
私たちの仕事は、人間から見て「綺麗に見える牛舎」を作ることではなく、牛が「暖かいな」「安心するな」と感じる環境を整えることです。
「汚い」と感じるものの中にこそ、実は命を守る温もりや、次の世代へ繋ぐ大切な菌たちが隠れています。見た目の綺麗さという「人間の物差し📏」を一度捨ててみると、牛たちの本当の快適さが見えてくるのです。
さて、こうして快適な環境を整えた上で、私たちは毎日牛たちの様子を観察します。 次回は、健康診断の重要な手がかりの一つである、牛の「鼻👃」に注目してみましょう。
🔔次回予告
【第27回】牛は「鼻」で健康がわかる?濡れた鼻先の秘密と観察の極意


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