【第13回】飼料の光と影:WCS単独管理が引き起こした「悪露・後産停滞」の課題と乾草代替策

専門技術とノウハウ
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こんにちは、土佐あかうし先生🐂です!

前回【第12回】では、給餌のタイミングをコントロールすることで「昼間分娩☀️を増やすノウハウについてお話ししました。しかし、分娩をスムーズに進め、その後の回復を早めるためには、時間の調整だけでなく、**「何を食べているか🍽️(餌の質)」**が極めて重要な役割を果たします。

今回は、自社で直面した「WCS(ホールクロップサイレージ)」管理の課題と、そこから見えてきた経営的な判断、そして現場での考察についてお伝えします。


【技術編を読む前の注意点】

※本記事は、「経済動物」としての視点に基づいた繁殖経営のノウハウです。閲覧にご不安がある方は、[プライバシーポリシー‐免責事項]をご確認ください。


WCS管理のメリットと、品質不安定のリスク

近年、畜産業界を最も苦しめているのが**「餌代の高騰💸」**です。輸入飼料の価格が跳ね上がる中、自社でも繁殖牛の粗飼料として、コスト面で有利な国内産の「WCS(稲発酵粗飼料)」をメインに活用してきました。

餌代を抑えられるメリットは経営的に非常に大きいのですが、一方でWCSには**「品質の不安定さ」**という課題もつきまといます。

収穫時期の天候によって品質が左右されやすく、長期保存が可能とはいえ、ロールの最後の方になるとカビ🍄が発生し、品質が低下してしまうこともあります。こうした品質のばらつきは、母牛の乳質低下や卵胞嚢腫(らんぽうのうしゅ)といった繁殖障害の一因となり、自社でも「後産停滞」や「悪露(おろ)停滞」が増える結果に繋がりました。

**「高騰する餌代を抑えるために安さを取るか、それとも治療費の抑制や『一年一産』の確実性を取るか」。**この経営的な天秤こそが、現代の牛飼いが直面している最も難しい選択の一つです。


「第一胃の容積」といきみの関係についての考察

飼料の種類を変えた際、分娩の様子に変化が見られたのも興味深い点でした。WCSの在庫が尽き、代用として「イタリアンライグラス」や「フェスク」を給餌していた時期のことです。

驚いたことに、WCSメインの時よりも後産停滞や悪露停滞は目に見えて減りました。しかし一方で、「分娩時のいきみ(陣痛)」が弱くなり、お産が長引く傾向が感じられたのです。

これについては、あくまで私の個人的な考察ですが、**「餌の体積」**が関係しているのではないかと推測しています。WCSに比べて代用の乾草は体積が小さいため、牛の「第一胃(ミノ)」の膨らみが少なくなり、腹圧がかかりにくくなった結果、押し出す力が弱まったのではないでしょうか。

子宮の収縮自体に問題はなさそうだったため、胃の容積という物理的な要因が影響したのかもしれません。正解は一つではありませんが、現場でのこうした違和感の中に、管理を改善するヒントが隠されていると感じています。


最後に:最適なバランスを求めて

飼料選びに「これさえやれば正解」という魔法の答えはありません。栄養バランス、子宮の収縮、そして腹圧を支える胃のボリューム。これらすべてが噛み合って初めて、理想的な分娩と回復が実現します。自社での試行錯誤はまだ続いていますが、こうした現場での気づき💡を大切にすることが、より良い繁殖管理への第一歩だと信じています。


そして、分娩に向けた体づくりの総仕上げとして、もう一つ欠かせないのが妊娠末期の栄養補給です。


🔔次回予告

【第14回】母牛へのリスペクトを込めて。増し飼いで守る「あか牛・黒牛」それぞれの命

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