こんにちは、土佐あかうし先生🐂です!
前回【第8回】では、発情を見逃さないためのセンサー活用や現場のサインについてお話ししました。発情を見つけたら、次はいよいよ**「いつ種を付けるか(受精させるか)」**という、最も技術と経験が問われるフェーズに入ります。
今回は、自社でセンサーを導入してから気づいた、データ上の「適期」と現場の「真実」についてお話しします。
【技術編を読む前の注意点】
※本記事は、「経済動物」としての視点に基づいた繁殖経営のノウハウです。閲覧にご不安がある方は、[プライバシーポリシー‐免責事項]をご確認ください。
■「適期」を6~12時間遅らせるという選択
センサーを導入した当初、自社ではAIが示す「適期」の通知通りに種付けを行っていました。しかし、結果は意外なものでした。受胎率が思うように上がらず、なぜか生まれてくる子牛がメスばかりに偏っていたのです。
そこで、あえて通知の適期から「6時間~12時間」ほど遅らせて種付けをするように運用を変えてみました。すると、受胎率が向上し、さらにオスの割合も増えてバランスが良くなったのです。
これには、ある興味深い仮説が関係していると考えています。
【精子の特性とタイミングの説】
- オスの染色体(Y)を持つ精子:足は早いが、寿命が短い。
- メスの染色体(X)を持つ精子:足は遅いが、寿命が長い。
卵子が降りてくるタイミング(排卵)にバチッと合わせて遅めに種を付けることで、足の早いオス精子が受精に間に合い、かつ受胎の確率も上がるのではないか……。自社での結果を見る限り、この「タイミングの調整」は非常に興味深い技術だと実感しています。
■センサーの精度を支えるのは「日々の環境管理」
便利なセンサーですが、一つ忘れてはいけないことがあります。センサーが示す数値は牛の「活動量」に基づいているため、牛が置かれている**「環境」**によって数値の出方は大きく変わってしまいます。
- 床の状態:ここが特に重要です。**「乾いた床」と「ベチャベチャな床」**では、牛の動きやすさが全く違います。床の状態が悪ければ、牛は発情していても活動量が上がらず、センサーが正しく検知できないこともあります。
- 餌と水:新鮮な水が常に飲めることはもちろん、餌の種類や栄養バランスも重要です。特に、卵胞嚢腫(らんぽうのうしゅ)などの繁殖障害を防ぎ、健康な発情を回すための管理が、センサーの数値を正しく出すための前提となります。
センサーというデジタルなツールを使いこなすためには、管理の行き届いた床や適切な給餌といった、アナログで基礎的な「牧場の環境づくり」が不可欠なのです。
■最後に:データと感覚を融合させる
データは強力な武器になりますが、それが全てではありません。その牧場の環境、その牛の個体差に合わせて「データをどう解釈し、どうずらすか」。自社に合った「正解💡」を見つけることこそが、繁殖経営の醍醐味です。
無事に受胎させるためには、こうした「外側」の技術に加え、牛の「内側」の状態を整えることが不可欠です。
次回からは、受胎率を劇的に左右する内部要因の核心、**「BCS(体型管理)」と「子宮回復」**について、2回にわたって詳しく深掘りしていきます!
🔔次回予告
【第10回】受胎率アップの鍵(前編):BCS管理の超実践!理想の体型とスタンチョン活用術


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