こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。
前回の記事では、目視で確認できる「分娩兆候」についてお話ししました。 それらの兆候を確認した際、あるいは分娩監視システム「牛温恵」の通知が届いた際、私たちが次に行うべき最も重要なステップが、膣内に手を入れて状況を確認する「頸管(けいかん)チェック」です。
今回は、自社での具体的な判断基準と、私が指先の感覚で何を読み取っているのかを深掘りします。
【技術編を読む前の注意点】 ※本記事は、「経済動物」としての視点に基づいた繁殖経営のノウハウです。閲覧にご不安がある方は、[プライバシーポリシー‐免責事項]をご確認ください。
■頸管チェック:3つの指標と「リング」の感覚
私は頸管を確認する際、単に「穴の大きさ⭕️」だけでなく、**「長さ📏」「硬さ💪」**の3つをセットでチェックします。
元々は指1~2本程度の個体が多いですが、お産が近づき頸管が緩んでくると、独特の「リング状」の感触になります。ここで私は、手前は指3本入るのに奥は2本しか入らない、といった微細な開きの差まで確認するようにしています。
指4本~満開になると、このリング部分だけが目立つようになりますが、このリングがどれくらいしっかり残っているかも重要な判断基準です。稀にリングが残ったまま進行し、子牛が引っかかることもあるため、細心の注意⚠️を払います。
■指の数による「待機」と「帰宅」の判断
自社では、触診の結果に応じて以下のように動きを決めています。
- 指1~2本: 基本は誤診。ただし、頸管が短く柔らかければ急進行を警戒します。
- 指3本: 誤診ではないがまだ時間はかかる。夕方なら一度帰宅して通知を待ちます。
- 指4本~満開: お産開始。基本は待機。ただし1次破水(通知)まで数時間かかることもあるため、いきみ具合で判断します。
ベテランの方は、これらの組み合わせから「あと何時間で産まれるか」を予想します。現場で常に「自分の予想」を立てることが、スキルアップへの一番の近道です。
■陰部の緩みと子牛の「予測」
頸管と同時に、陰部の緩みも腕で広げて確かめます。「頭が通れる広さがあるか」を物理的に確認するのです。 子牛の足に触れることができれば、足首の太さで大きさを判断したり、性別🎎を予測したりもします。この時、必ず頭の位置も確認し、逆子(後肢位)ではないかを確実にチェックします。
■忘れずに行う「直腸検査」での生存確認
あわせて、私は必ず直腸検査を行い、子牛の生存を確認します。 一番確実なのは蹄の間をつねって足を引っ込めるかを見る方法で足が触れない場合は、「中子宮動脈」を確認する方法を取ります。この血管の拍動は、いわゆる「ドクンドクン」という鼓動とは違い、「ズイズイ」と何かが中を通り抜けるような独特の感覚があります。この手応えがあれば、子牛に血が通っている証拠です。
■最後に:現場でしか得られない「直感」
頸管の状態は個体差が激しく、すべてをマニュアル化することはできません。しかし、指先から伝わる微細な変化に集中し続けることで、少しずつ「牛との対話」ができるようになってきます。
この感覚を磨くことこそが、異常をいち早く察知し、土佐あかうしの命を繋ぐプロとしての技術だと私は考えています。
🔔次回予告
【第19回】1次破水から2次破水へ。介助に入るタイミングと自社流の介助方法


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