【第21回】産声の後に続く「命のバトン」。分娩後の処置と、初乳を飲ませる当番の責任

専門技術とノウハウ
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こんにちは!土佐あかうし先生🐂です。

前回の記事では、あか牛と黒牛の分娩傾向の違いや、分娩誘起のタイミングについてお話ししました。 子牛が無事に産まれ、その産声を聞いた瞬間は、何度経験しても大きな喜びと安堵に包まれます。しかし、繁殖農家にとってお産は「産ませて終わり」ではありません。

今回は、分娩直後に行う一連の処置と、自社で最も大切にしている「当番の責任」について詳しく解説します。


【技術編を読む前の注意点】 ※本記事は、「経済動物」としての視点に基づいた繁殖経営のノウハウです。閲覧にご不安がある方は、[プライバシーポリシー‐免責事項]をご確認ください。


分娩直後の5つのステップ

子牛が地面に降りたら、以下の処置を迅速に行います。

  1. 呼吸と羊水の確認: 羊水を飲んでいないか確認し、飲んでいるようなら逆さ吊りにして口の中から羊水を吐かせます。
  2. スタートアライフの給与: 「スタートアライフ」という初乳製剤のペーストを口に放り込みます。立ち上がる速度が劇的に変わり、人による技術差を埋めるメリットもあります。
  3. 性別確認とヘソの消毒: ヘソの外側にしっかりイソジンをかけます。中に流し込もうとすると細菌を押し込むリスクがあるため注意⚠️が必要です。
  4. 母牛のチェックと栓抜き: 膣内に手を入れて双子👬を確認し、収縮を促すためイソジンを注入します。この際、膣に手を入れたまま乳首の「栓抜き(初搾り)」を行うと、蹴られにくく安全です。
  5. 母牛の性格判断: 母牛に舐めさせながら、しっかりと世話をする個体かどうかを見極めます。👀

「初乳を飲ませるまでが当番」という自社の鉄則

自社では、分娩当番の仕事は**「子牛に初乳(しょにゅう)を確実に飲ませるまで」**と決まっています。

牛の子は胎盤から免疫を受け取れないため、初乳が命綱になります。基本的には、子牛が自力で立ち上がり、乳首を吸うのを見届けます。授乳が下手な母牛なら人間が乳首まで誘導し、吸い付かせてあげます。

母牛の初乳を絞るか製剤を用意して「哺乳瓶🍼」で飲ませることもありますが、どうしても子牛が立ち上がらなかったり元気がない場合に限り、カテーテルを用いた「強制給餌」を行います。

「産まれたから帰る🏃💨」のではなく、「飲んだから安心😌」となるまでが私たちの責任です。


最後に:命のバトンを繋ぎきる

介助で力を使い果たした母牛を労い、新しく産まれた命が自分の足で立ち上がり、力強くミルクを飲む姿を確認して初めて、一つの分娩が完結します。

さて、これまで繁殖経営の核心である専門的な「分娩編」をお届けしてきましたが、次回からは新シリーズがスタートします!

無事に生まれた子牛が成長し、ミルクから草を食べるようになる過程で欠かせない「牛の体の不思議🤔」について、元教師の視点で分かりやすく授業をしていきます。まずは、意外と知らない「お口の中👄」の秘密から覗いてみましょう。


🔔次回予告

【第22回】牛には上の前歯がない!?『歯ぐき』で草をちぎる驚きの食事法

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